前回のブログで紹介した象嵌細工の技法マーケトリーは家具だけでなく他のものにも使われました。例えば、この道具です。

Page Turner1 Page Turner5

アンティークにあまり詳しくない人はこれをレターオープナーやペーパーナイフと言ったりします。レターオープナーは先が細くとがっているものを指すのでこれはレターオープナーではありません。ペーパーナイフと呼ぶのは実は間違ってはいないのですが、イギリスのアンティーク業界ではペーパーナイフと呼ぶことは少なく、ページターナー(Page Turner)と呼ばれています。その名の通り、読書の際にページをめくるときに使われたためです。昔は両面印刷して製本した際に袋とじのような状態のままで販売されることもあったようで、それを切る時にも使われていたため、ペーパーナイフとして使うこともあったのです。

鼈甲と真鍮の装飾が施されているこちらの道具は両サイドが2ミリほどの厚みがあるので紙を切ることは難しいことがわかります。ですのでこればページをめくるためだけに作られたページターナーになります。

Page Turner2 Page Turner3

私の持っているページターナーは29センチほどですが、サイズは様々でこれよりも短いものや40センチを超える大きなものもあります。素材は木、鼈甲、象牙、角、骨、石、シルバー、パピエマシェ、ベイクライト(初期のプラスチック)、竹など様々です。