先週紹介した、アニマルグルーという膠の他に(主に家具)修復で使う膠について紹介します。

フィッシュ・グルー(Fish Glue)
アニマルグルーの次に、うちの工房でよく使うのがフィッシュグルーです。これもアニマルグルーと同じように水と熱(ぬるま湯)で溶けるので剥がすときに綺麗に剥離できます。

魚の骨などから作られた膠で主にフランスやカナダで使われています。最大の特徴はアニマルグルーのように60度近くの温度で温め続ける必要がなく、常温で使用可能でとても強いという点です。

アニマルグルーは接着面に塗ったらすぐに接着物をつけなければゼリー状に凝固しうまく接着できませんが、フィッシュグルーは常温で使用するので細かい作業や接着箇所が多い場合に非常に便利です。乾くのに少し時間がかかりますが、強度もアニマルグルーと変わらないほどあり、粘着性が高いため金属や油分を多く含む木材の接着にもよく使われます。値段はアニマルグルーよりも割高ですが室内の気温が下がる冬場は特に重宝します。

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スタージェン・グルー(Sturgeon Glue)
スタージェンとはチョウザメのことで、チョウザメの膀胱を干した干物です。これをハサミで小さめにカットし、しばらく水につけてふやかします。その後45度で温めて使用します。水っぽいので隙間に浸透しやすいのですが接着力はそれほど強くありません。これ以上朽ちないように現状を維持させるときや表面に貼られた化粧材を完全に剥がさず接着させる時などに使われます。主に博物館などで使われます。フィッシュグルーよりも割高です。

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半分剥がれて曲がっていた真鍮の装飾を、熱と水分ではがした時の写真

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ビーカーの中にはいているのがスタージェン・グルー

ラビットスキングルー(Rabbit Skin Glue)
ラビットスキングルー(うさぎの皮の膠)を水で薄めたものを表面に塗り、金箔を貼る時に使用します。粉末を水に溶かし少し温めて使用します。うちの工房では金箔を貼る仕事は少ないのであまり登場しない膠です。その他にも油絵で使うキャンバスのサイジングやストレッチングにも使います。

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