旋盤機とは、加工したい物を固定し回転させ、そこに刃物をあてて切削加工する工作機械です。加工される物自体が回転するので、出来上がった物は円形や円すい形など、必ず回転軸に対して対称な形になります。

現代でも様々な旋盤機がありますが、今から200年以上も昔にホルツァフェル(Holtzapffel)旋盤機というとても素晴らしい旋盤機がありました。

ストラスブール(当時ドイツ、現フランス)生まれの旋盤工のJohn Jacob Holtzapffel(1768-1835)氏が1794年にロンドンでホルツァフェル(Holtzapffel)社を設立し旋盤機と旋盤機用道具を販売しました。

ホルツァフェルの旋盤機は非常に複雑で高性能でした。当時かなりの高額にも関わらず飛ぶように売れたのですが、その理由はホルツァフェルの旋盤機で作られた物が非常に美しかったからです。

この写真の嗅ぎタバコ入れはホルツァフェルの旋盤機で作られたものです。直径10センチほどの容器にこんなに細密な模様が施されています。

Holtzapffel (1) Holtzapffel (2)

Holtzapffel (3)

これは当時の旋盤機の会社広告です。写真が小さく少し見にくいですが、細かく複雑で美しい模様が刻まれているのがわかると思います。

Holtzapffel (4)

主にこの旋盤に使われた素材としては象牙、黒檀(エボニー)やローズウッドなどの固い木材、珍しいものではベークライト(初期のプラスチック)があります。

私自身、普通の旋盤機は使うので、この旋盤機のすごさがよくわかります。