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アンティークシルバーの基礎知識

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銀製品の知識を少し増やすことで、いろいろなことが見えてきます。

イギリスの銀製品

pot-hallmarkイギリスの銀製品が長い間高い評価を受けてきた大きな理由は純度が高いということとホールマークという刻印のシステムにあります。イギリスでは92.5%以上(95.84%以上の時期もあった)の純度でないとシルバーと見なされません。(他のヨーロッパには80%やそれ以下でもシルバーとみなされる国もあります。)

イギリスでは1238年よりシルバーにマークが押されるようになり、現在もそのシステムは続いています。このマークはホールマークと呼ばれ純度の検査を受けた場所、年代、メーカーがわかるようになっています。イギリス各都市にあるアッセイオフィス(シルバーの純度を検査する機関でここでホールマークが押される)に各地で作られた銀製品は一度集められ、検査を受けホールマークが押され(お金を払って検査を受ける)、製造者の元に戻り販売されました。

このシステムが作られた理由はシルバーの品質を保持するためや税金を払わせるということに狙いがありました。アッセイオフィスで押されたホールマークがないとシルバーと認められない、つまり税金を払っていないとシルバーとして認められず、結果として良い値段で売れなくなり商売にならなかったのだと思います。

銀製品は昔の人全員が使っていたわけではありません。シルバー自体安いものではなかったので、お金に余裕のある中流、上流階級の人のみが使っていました。

このように信頼できるしっかりとしたシステムがあったという理由からイギリスの銀製品は世界中で高い信頼と評価を今でも得ています。

イギリスの銀製品の価格はどのように決まっていくのでしょうか?基本的にはシルバーの量が沢山使われていればいるほど値段は上がります。これはシルバーの地金自体に価値があるからです。しかし、必ずしもそれだけでは決まりません。小さくても高価なものも沢山あります。

銀製品の価値が決まるポイント

(1) 作られた年代
シルバーは溶かして再利用されることが多いため、古いものであればそれだけ残っていることが少ないので価値が上がります。

(2) アッセイオフィス
どこのアッセイオフィスで検査を受けたかによっても価値が変わることがあります。例えばExeterエクセターのオフィスは1883年に無くなってしまったため、これ以上エクセターのホールマークを持つ銀製品は増えることなく、時と共に減る一方です。このように数が少なくなると価値も高くなります。

(3) メーカー
銀職人または銀工房によっても価格が変わってきます。王室御用達だったり質の高い銀製品を作っていた有名な工房の製品の価値は高くなります。

(4) 製品
どのような製品かによっても大きく変わります。珍しい製品やコレクターの多い製品の価値は高くなります。たとえばほんの一例ですが、同じスプーンでも日常使うテーブルスプーンとキャディースプーン(当時非常に高価であった茶葉を取る時に使われた短いスプーン)を比べると、キャディースプーンの方が銀の量自体は少ないですが数も少なく珍しいのでテーブルスプーンよりも高めです。

(5) デザイン・質
デザインもたくさんありますが、より繊細で美しいもの、珍しいもの、有名なデザイナーのものなどは高値で取引されています。またそれだけでなく質も重要です。細部まで細かく丁寧に時間をかけて作られたものほど好まれます。

(6) 状態
古いものなので多少の小さな傷やくぼみはそれほど価格には影響しませんが、割れや大きな凹みなどがあり状態があまり良くないものの価格は状態が良いものよりは低くなります。

image-spoon欧米で銀製品を買う人の中には投資という考えを持っている人も多くいます。各国での通貨危機や株価の暴落などで、安定した価値のある貴金属への投資が盛んであることはニュースになっているのでよく耳にすると思います。イギリスでは2010年から2012年には銀地金の高騰によって古い銀製品がかなり溶かされてしまいました。

古い銀製品が溶かされる→古い銀製品が欲しくても手に入りにくくなってゆく→残っている銀製品の数が少なくなると希少価値がさらに高くなり自分の持っている銀製品の価格がUPするということになるわけです。

また銀製品は実際に使って楽しむこともできます。

こういったシルバーの基礎知識を持っていると、イギリスアンティーク銀製品の輪郭がまたよりはっきりと見え深く楽しむことができると思います。

コンチネンタル(大陸)の銀製品について

イギリスにはイギリス以外のアンティークも多く見られます。それは、貿易や植民地政策によって大英帝国が力を持っていた時代を中心に世界中の富がイギリスに集まったこと、旅行が好きなイギリス人が旅行先で購入したためだと思われます。

世界中から持ち込まれた美術品の種類と量には驚かされます。シルバーに関しても色々な国のものが見られます。国や年代によってシルバーの純度やデザインは様々なので、 詳細については各商品のページで言及致します。

さらに知っておくとお得なポイント!

(1) 重さについて
シルバーを選ぶとき「重さ」 に注目すると見えてくるものがあります。
シルバーは柔らかい金属なので、軽いとそれは薄いということになり変形しやすく、逆に重くなればなるほど厚くなるので丈夫ということになります。重いスプーン、フォーク、ナイフなどのカトラリーは曲がったり凹んだりしにくくなります。重いポットや皿などの場合は凹みや割れなどのリスクが減ります。ポットなどは特に持ち運ぶことが多いので厚みのある重たいものがおススメです。

スプーンやフォークのカトラリー類は時代が古くなればなるほどセットのものであっても個々の重さにバラつきが見られます。特に古い時代にはほとんどが手作りであったため、作られた当初からセットで作られたカトラリーにも個々の重さに若干の誤差があったと考えられます。また、長い時を経てくる間に、過去の持ち主がセットのカトラリーの中のいくつかだけを頻繁に使用した場合、それは摩耗が進み軽くなってしまいます。なので古いスプーンやフォークのセットを手にしたとき微妙に重さにバラつきがあるのはごく普通のことです。そういう違いを個性として見るのもアンティークの楽しみのひとつ だと思います。

(2) スプーンの大きさについて
古いスプーンやフィドルハンドルのスプーンのサイズは、私たち日本人にとっては名称から想像する大きさよりも少し大きめです。日本人にとっては、ティースプーン、デザートスプーン、テーブルスプーンはそれぞれ、ティースプーンはデザート用、デザートスプーンは主に食事用、テーブルスプーンはサービング用で丁度良いです。

フラッシュヒンジ

フラッシュヒンジ

一般的なヒンジ

一般的なヒンジ

(3) ヒンジ(蝶番)
ポットのフタと本体を繋ぐ役割を果たす部分のことをヒンジと呼びます。

一般的には事前にヒンジを作りそれを溶接します。
ほかにフラッシュヒンジという平らなタイプのものがあります。
全体のデザインをヒンジによって邪魔されることなく、美しくみせる効果があります。しかしフラッシュヒンジの方が作るのに手間がかかり職人の高い技術が必要になってきます。

 

 

 

銀製品のお手入れに関してはこちらをご覧ください。

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