古くから植物を加工して様々なものが作られてきました。
アンティークの世界でも木材、葉、種子、根などから作られたものがあります。この中でちょっと珍しい素材である種子でできたものをいくつか紹介したいと思います。種子の中でも表面が硬く大きいものは加工に適しています。

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これは椰子の実でできたバスケットです。19世紀から20世紀初頭にかけて太平洋の南の島で作られたものです。硬い表面に細かい彫刻が施されています。

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こちらも19世紀から20世紀初頭まで作られていたブラジルナッツで作られたオブジェです。この2点は異なる場所でたまたま見つけたものです。表面の硬い皮を旋盤機で削り作られています。右のナッツは一部に刃を入れ貫通させて彫られています。両方とも中は空洞になっており、その空洞にナッツがそのまま入っているので振ると音が鳴ります。なのでラトル(マラカスのような振って音を出す楽器)と言う人もいれば、ずっしりと重いのでペーパーウエイト(上部の穴にはペンをさす)と言う人もいますが、実際のところ用途はよくわかっていません。確かに左のブラジルナッツは重たいですが(削られている部分が少ないので)、右はそうでもありません。個人的には何かの用途のために作られたものではなく、昔の観光客のために作られた土産品で飾るためのオブジェなのではと思っています。

ココナッツもブラジルナッツも表面が硬く艶が出やすく色合いも飴色です。そして普段見慣れたものでない変わったアンティークで、知的好奇心を掻き立てられ、見ているだけで癒されます。