今週からバーリーハウスがオープンし、また観光客がたくさんやってくる季節になりました。
毎年、春のオープン直後だけ普段は入れないサウスガーデンも一般に公開されます。

south garden (1) south garden (2)

このバーリーハウスの庭園をデザインしたのはランスロット・“ケイパビリティ”・ブラウン(Lancelot ‘Capability’ Brown)という造園家です。
日本ではあまり有名ではないかもしれませんが、イギリスでは最も有名な造園家の一人です。

Capability Brown

昨年の2016年は彼の誕生300年に当たる年でした。
彼はチャッツワース・ハウスやブレナム宮殿などの有名な邸宅の庭園も手がけ、彼が生涯に手がけた庭園の数は170を超えると言われています。

彼の本名はランスロット・ブラウンで、ケイパビリティというのはニックネームです。
ケイパビリティ(capability)とは能力・才能・可能性・将来性という意味の単語ですが、彼が庭園のデザインの依頼を受けその邸宅を訪れた際に、庭を見て「この庭にはケイパビリティがある」と必ず口にしたそうです。
これがニックネームのきっかけとなり、現在では本名のランスロット・ブラウンよりもケイパビリティ・ブラウンの方が有名です。

イギリスの庭園といえば、自然の景観美を大切にしている風景式庭園が多いのですが、これをイギリス全土に広めた人物と言っても過言でもないのがこのケイパビリティ・ブラウンなのです。
計算され尽くされた「自然」の風景を広大な庭園で再現しています。
邪魔な塀を取り払い、時には川の流れさえ変えることもあったそうです。

バーリーハウスにも視覚の障害となる塀はハウスと庭園の間にはありませんが、塀の代わりとなる少し変わった工夫がなされています。

Ha Ha Wall Ha Ha Wall2

写真を見てわかるでしょうか?
地面を約2メートルほど掘り下げ、塀のようにして進入できないようにしてあります。(Ha Ha Wallと呼ばれています。)
こうすることでハウスから庭園を見たときに何も邪魔するものがなく、広大な庭園を見渡すことができるのです。