修復士になるための大学に通っていた学生の時、コインを切りぬく課題がありました。
これはそのときに作製したものです。

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ドリルで小さな穴を開け細い糸ノコを入れ切り抜いていきます。
この技術はマーケトリーやパーケトリーなどで必要となってくる技術です。

マーケトリーもパーケトリーも日本語では象嵌細工といいますが、マーケトリーは模様が絵でパーケトリーは幾何学模様になります。
家具の飾りとして金属で作られた模様が施されていたり、家具以外にも金属を加工する場面は修復ではよくあります。
たとえば、古い家具の鍵がなくなってしまっている場合などは鍵を作成することもあります。

この練習は特に真鍮と鼈甲で作られたブルマーケトリーの装飾(こちら)の修復を想定しているものです。

課題はコイン1枚だけで良かったのですが、誰よりも優れた技術を身につけたくて練習のために3枚作製しました。

写真の下2枚はイギリスの2ペンスコインとオーストラリアのコイン。
2ペンスコインは銅でできているので比較的柔らかく加工もしやすいのですが、写真中央のコインはチェコのコインで、こちらは真鍮製。

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チェコのコインは固く厚みもある上に、模様も複雑なので大変苦労したのを覚えています。
今となっては懐かしい思い出です。