日本ではあまり馴染みがないアンティークの分野に、杖(Walking Sticks)があります。イギリスには杖のコレクターやそれらを専門に仕入れる店やディーラーがいます。

杖は古くから使われてきたため、各国で作られ、様々なデザインがあり、多種多様な素材で作られてきました。

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現在のように車椅子がありませんでしたので、足に問題がある場合は、杖は歩行するときに必要不可欠なものでした。簡単な木製の棒で作られたものもあれば珍しい素材で彫刻が施されたものもあります。

使われた素材は、様々な木材、竹、鉄、銀、金、真鍮、銅、角、象牙、鼈甲、骨、牙、ガラス、石、宝石、サンゴ、貝などです。

なかには、杖の中が空洞になっており刀(サーベル)や物差し(メジャー)が仕込まれた杖、ハンドルの部分に小さな隠し蓋があり小物を入れる機能が付いている変わった杖もあります。

私が持っている変わった珍しい杖がこれです。見た目も変わっています。昔誰かが下手に修理した後があるので修復しなければならないのですが時間がなくてまだ修復してない状態です。

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この杖のハンドルは角、つなぎ目の部分は銀、シャフトはサメの脊椎骨で作られています。構造はサメの脊椎骨の中に鉄の棒が入っています。

19世紀にイギリスの船乗りが作った杖です。

鯨の骨、鯨の牙、セイウチの牙、鯨髭、鼈甲、イッカクの角などを使って船乗りが作ったものは特に珍しく高価です。18、19世紀に長い航海の間に船上で船乗りが仕事の合間に作り、イギリスに戻り家族にプレゼントしたり売って副収入にしていたものです。

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