新型コロナウィルス感染拡大で3月23日にイギリスはロックダウン(外出禁止令)が発令されました。ロックダウンは最低でも3週間と発表され、発令から1週間が経過し死者数は日々増加しています。イギリス政府はベストを尽くしても2万から2万5千人の死者を予想している状態です。

食料品、薬、日用品を売る店、病院、郵便局以外は基本的には閉まっています。しかし、外出禁止とは言っても、生活必需品の買い物以外に1日に一度の運動(ウォーキング、ランニング、自転車)のための外出は認められています。

欧州の歴史をみると、ペスト、天然痘、チフス、スペイン風邪(インフルエンザ)などのパンデミックにより多くの人が亡くなりました。この様なパンデミック下で生き残るために必要なことは外界との交流を断ち自給自足の生活をすることが理想ですが、現在の我々の生活スタイルでは非常に難しく今までと同じ生活スタイルを維持しながらでは不可能です。

しかし、昔の城やバーリーハウスのようなマナーハウスでは可能でした。塀に囲まれた広大な敷地内に必要な施設があれば門を閉ざしても半年~1年、それ以上でも可能だったと思われます。

burghley house

バーリーハウスもかつては自給自足でした。ハウスの南に位置する川のように長い湖の対岸にはハウス専用の牛、豚、羊、鶏などの家畜を飼育する農場がありミルク、チーズ、卵、肉などが生産されていました。敷地内には森もあるので動物も多く住んでおり、貴族の娯楽スポーツでもあったシューティングによって鹿、ウサギ、鴨、雁、キジ、パートリッジなども容易に手に入ります。

野菜や果物を作る為に作られた、ブロックの塀で囲まれた大きなキッチンガーデンもありました(18世紀初頭に作られた)。1796年にはガラス張りの温室が作られ、そこで収穫された野菜や果物がスタンフォードのマーケットで売られていたそうです。さらにメロンハウス、マッシュルームハウスもあり、パイナップルまで作られていたそうです。

バーリーハウスに付属するオランジェリーには大きな窓と暖炉が設置されここではオレンジを栽培していました。ほかにも、ブルーハウス(Brew House:Brewとは「醸造」の意味)ではビールなどが作れられていました。

現在は、農場は宿泊施設に、キッチンガーデンは結婚式イベントなどに、オランジェリーはレストランに、ブルーハウスはバーリーハウスを観に来た人の為のチケット販売や特別展示場になり、昔とは別の用途に使われているため、このような自給自足の生活は不可能になりました。

他のマナーハウスや城でもこのような建物があるのを見たことがあるので、昔は疫病が流行した時は門を閉めて自給自足生活に入ったのではないかと思います。