古くから金は使われており、様々なものに金を埋め込んだり、付着させることにより多岐に渡る金装飾が使われてきました。全てを金で作るとコストが高くなるので、薄くのばした金箔や粉末にした金を使ったりする技法(ギルディング:Gilding)が数多く生まれました。

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私の本職であるアンティーク家具修復でも、金の装飾(ギルディング:Gilding)は出てきます。家具に使われる伝統的なギルディングは主にウォーターギルディング(Water Gilding)、オイルギルディング(Oil Gilding)、マーキュリーギルディング(Mercury Gilding)の3つがあります。

ウォーターギルディングはラビットスキングルー(うさぎの皮の膠)を水で薄めたものを表面に塗り金箔を貼っていきます。これは表面の光沢が最も美しいという長所がありますが、他のギルディングに比べ金箔を貼る工程が難しかったり、完成後クリーニングの時に剥がれやすいという短所があります。

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オイルギルディングはギルディング用のオイルを表面に塗り金箔を貼っていきます。ウォーターギルディングより貼りやすく、クリーニングや水にも強いので家具よりも建築装飾に使われたりすることが多いです。

マーキュリーギルディングは熱を使うので、家具の装飾に使われる金属や陶器などに使われました。危険な技法なので現在は禁止されているので実際の作業は見たことはありませんが、マーキュリー(水銀)を熱で気化させて金を付着させます。クリーニングや水にとても強いギルディングです。