金属のアンティークの素材でよく見かける素材に真鍮(Brass)があります。

真鍮は熱によって加工しやすい性質を持ち、比較的柔らかいため加工しやすく、磨き上げることで金のような美しい色あいが得られるため古くから使われてきました。現在の日々の生活でも5円玉やコンセントのプラグ(電流が流れやすい)が身近なところで使われています。

真鍮とは銅と亜鉛の合金で、金属の割あい、作られた場所や製法、年代などによって色あいが異なります。そして特別な表面加工をしない場合は表面の色あいが変わっていきます。真鍮に含まれている銅が酸化し酸化銅の皮膜に覆われ本来の光沢が失われ色あいも変わります。また水分による影響が強く、直接水が長い間付着したままになると緑青などが出てきます。

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これは18世紀後半から19世紀初頭に作られた真鍮のキャンドルスタンドで、湿気の多い窓際に14年ほど置いていたものです。手に入れた時はよく磨かれ透明感のある金色でしたが、かなりくすんでしまいました。

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磨き上げるとこのように真鍮の美しい色あいと光沢が戻りました。

作られた時に塗料でコーティングされている真鍮もあります。先日アンティーク家具の修復の仕事で手がけた家具のパーツが真鍮でできており、表面にラッカーが塗られたものがありました。

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写真の右が塗装が施されたもの左が塗装を剥がした後のものです。お客さんが古くなって変色した表面のラッカーを剥がしもっと明るくしたいという要望で古いラッカーを剥がしクリーニングの後新しいラッカーを塗る作業です。

古いラッカーの独特な風合いが私は好きなので古いオリジナルのラッカーが残っているものに関してはそのままの状態で保存しています。例えば19世紀に作られた手紙を測るスケールの表面はオリジナルのラッカーの少し剥がれた場所がとても美しく長い歴史を感じさせてくれます。

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塗装がされていない真鍮も酸化や傷によって美しい味わいになります。

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磨き上げた真鍮の美しさ、酸化して色あいが変わった古びた美しさを楽しめる素材だと思います。