光のあたる方向によって違った輝きをみせるマザーオブパールと、キラキラと輝くシルバーが組み合わされたカトラリーは美しく、多くの人の目を引きつけとても人気があります。

マザーオブパール 白蝶貝 カトラリー 白蝶貝ハンドルのスプーン

お手入れの方法のページで、継ぎ目のある銀器のスプーン、フォーク、ナイフ(ハンドルが白蝶貝、象牙、角、シルバー、ベークライトなど)について
「柔らかいスポンジに中性洗剤をつけて、使用した先の部分のみを水で洗います(お湯は避けて下さい)。ハンドルと継ぎ目の部分はできるだけ水につけないようにお気を付け下さい。ハンドル部分が汚れた場合は湿らせた布巾などで汚れをふき取ってください。」
と記載しています。

しかし、なぜ全て水につけて洗わない方がよいのか、なぜハンドルの継ぎ目を濡らさない方がよいのか?
その答えはこれらのカトラリーがどのように作られているのかを知ると納得できると思います。

mother of pearl

これは白蝶貝のカトラリーを修復のために分解したものです。
カトラリーの先の部分(写真上)、ハンドル(写真下)、それらを接合させる役割であるリング(写真中)の3つのパーツに分かれます。

この写真ではカトラリーの根本にある細い棒状のもの(写真の右側部分)が折れていて少し短いのですが、この部分をリングを通しハンドルに開けられた穴に固定し、リングの空洞部分はタールなどの詰め物で満たされます。この継ぎ目の部分に水が入ると(もちろん、できるだけ入らないように隙間なく作られていますが)、詰め物は膨張してカトラリーの先の部分を押し出してしまうのです。

このことは、白蝶貝だけではなく象牙、角、シルバー、ベークライトなどのハンドルでも同様のことが言えます。
ですから、このような継ぎ目のあるアンティークのカトラリーを購入される際には、このリング部分を注意深く確認されることをお勧めします。

美しいカトラリーの、その構造を熟知することによって、長く状態の良いまま使い続けることができます。