モーニングと聞くと日本では朝を想像しがちですが、綴りは異なり「mourning」と書きます。これは喪に服すことを意味する単語で、喪に服す期間に故人を偲び身につけられた装身具のことをモーニングジュエリーと呼びます。

JEH007 (20) JEH008 (10)

1649年に清教徒革命で処刑されたチャールズ1世の死をいたみ、王党派の人々がチャールズ1世の髪の毛の入ったジュエリーを身につけたのを機にそのような習慣が広まったそうです。

特に19世紀のイギリスで流行したジュエリーの一つになります。1861年、ビクトリア女王の夫であるアルバートが42歳の若さで亡くなり、ビクトリア女王は深く悲しみ彼の死後二度と豪華な衣装を着ることがなく、39年間黒い喪服だけで過ごしました。そのことからモーニングジュエリーが一般に流行します。

特に髪は神秘性、永続性の象徴であり、ジュエリーの表か裏に小さなガラスの蓋が付いており、その中に故人の髪が納められました。時代が進み髪の毛を編んだり、絵のような模様にしたジュエリーも作られました。

JEH007 (14) JEH008 (13)

他には涙の象徴とされたパールが使われたもの、白と黒のエナメル装飾に名前や年号が記載されたもの、ジェット(太古の樹木が水底に蓄積され化石化した黒い宝石)などがあります。

慎ましさが美徳とされた時代に作られ流行したジュエリーです。