古くからワインは飲まれていましたが、現在我々がイメージするステムのついたガラス製のワイングラスの形状は、1400年頃イタリアのヴェニス(ムラノ島)で作られ始めました。それ以前はワインを飲むときは主にボウルやカップでワインが使われていたようです。ワイングラスのステムのあるデザインは教会などで使われた金属製の聖杯(チャリスやゴブレット)に由来していると考えられています。

1400年頃にヴェニス(ムラノ島)で作られたワイングラスは、透明度の高いワイングラスを作るために、それまでガラス製造で使われていた混合物(ソーダ石灰など)を減らしたため強度も落ち劣化が早かったそうです。これはGlass Disease(直訳すると「ガラス病」)と呼ばれ、表面がひび割れて貫入が入り、割れてしまいます。

1600年代になるとイギリスでもワイングラスが作られ始めました。それまではOak(樫の木)をガラス製造の際に燃料として使っていたのですが、イギリス海軍が造船の為にOakを使うのでガラス製造の燃料が石炭に変わります。これによって、木材よりも高温にすることができ、強度の高いガラスが作り出されました。シャンパンのようなスパークリングワインを入れると割れていたフランス製のガラスボトルからイギリスの強度の高いガラスボトルに変わったそうです。

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1670年代にはGeorge Ravenscroft(イギリス人)によってより質の良いガラスが作られます。酸化鉛を加えることでより美しく輝きを増すことを発見しました。

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1700年代のワイングラスの使われ方は、召使が一人一人にワインを注ぎ、飲み終わると下げられていたそうです。18世紀になるとワイングラスとワインボトルが食卓に置かれるような現在のスタイルになりました。古いワイングラスは現在のものよりもずっと小さいものでショットグラスのように飲まれていました。小さかった主な理由はガラスに税金がかけられていた為で、そのようなガラス税が無くなってから現在のように大きく進化しました。