馴染みのある清涼飲料水コカ・コーラのコカはコカイン、コーラーはコーラナッツのことで、初期のコカ・コーラにはコカイン、コーラナッツが原料として使われていました。

コカ植物の薬効は、南米の先住民には何千年も前からよく知られ、インカ帝国の人々は、コカインを初期の脳外科手術の鎮痛剤として使っていました。1850年代にドイツの化学者によってコカ植物からコカインが抽出され、欧米で使われ始めます。

現在では考えられませんが、19世紀、コカインは奇跡の物質として宣伝され、あらゆる目的のためにあらゆる治療薬に添加されました。頭皮に塗ればフケがなくなり、鼻から吸えばアレルギーを治すと謳われ、粉末にして売られました。花粉症協会がコカインを正式な治療薬に指定したり。美容コラムには、皮膚に塗ると冷え症が治ると書かれていたそうです。疲労、歯痛、喉の痛みと闘うために、キャンディーやシロップにして売られたり、瓶、錠剤、ワイン、粉末、タバコ、軟膏、さらには簡単に注射できるように注射器にもなっていたそうです。

アメリカのジョン・ペンバートン博士は薬効成分を含む娯楽飲料として「ペンバートンのフランスワインコカ」を販売していました。コカインとコーラナッツで作られたワインは、うつ病、モルヒネ中毒、アルコール中毒、不安症に効くとされていました。1886年にノンアルコール飲料を開発し、ワインをソーダ水に変えてドラッグストアで販売し、コカ・コーラが誕生したそうです。ペンバートン博士は「貴重な脳の強壮剤…おいしくて、さわやかで、純粋な喜び、爽快感」として売り出し有名になっていきました。

このコカ・コーラはペンバートンの死後も、1906年にコカインが除去されるまで、彼のオリジナルレシピを使い続けたそうです。もちろん現在はコカインもコーラナッツも使われていません。

19世紀のコカ・コーラ