私の本業はバーリーハウスでのアンティーク家具の修復です。

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バーリーハウスにある家具の修復は年間で2~3割ほどで、それ以外の家具の修復は外部から来ています。
バーリーハウスにある多くの家具はコンディションが良い状態であることと、バーリーハウスには年間の修復予算があるため外部からの修復が多いわけです。

バーリーハウス以外から修復でくるアンティーク家具は、イギリスで最も有名なマナーハウスであるチャッツワース、イギリス各地にある個人所有のマナーハウスや城、博物館、ビッグベンで有名な国会、ナショナルトラスト、イングリッシュヘリテッジ、大学、オークションハウスなどからです。

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その他にもアンティーク家具の個人コレクター、代々受け継がれて家にある家具、火事や水害や引越しの時にできた傷などを修復する保険の仕事などもあります。

イギリスではごく普通の一般家庭でもアンティーク家具が使われています。
日々、何百年も使っているとどうしても傷んだり壊れたりします。
新しいものを買ったほうが安いことが多いのですが、それを捨てるのではなく修復して使う人がイギリスには多いのです。

よく日本でイギリスでアンティーク家具の修復士になるには免許があるのか?と聞かれます。
答えは「ありません」。

日本でたまに、HND(Higher National Diploma)をイギリスのアンティーク家具修復国家資格だと紹介されていることがありますが、これは日本でいうところの「国家資格」とはかなりニュアンスの異なるものです。
HND(Higher National Diploma)は日本でいう短大卒レベルの資格(学位に近いです)になります。
イギリスの大学は基本的には国立なので、国や公的な団体からの認定ということで、日本語で「国家資格」と表現されることが多いようです。
私はFurniture Conservation Restorationの資格(学位)であるBA(Bachelor of Art ※日本でいう四大卒レベル)をイギリスの大学で取得しました。

私の中では「国家資格」というのは、しかるべき試験などを受け、その資格がないとその職業に就けないもの、という認識があるのですが(日本での認識はそうだと思います)、こちらでのHNDやBAは修復士になるために必ず必要なものと言うわけではありません。
なので、日本で「英国アンティーク家具修復国家資格」という表現を目にするたびに、少し違和感を感じてしまいます。

国が変わればまたシステムも違うので他のヨーロッパの国では存在するかもしれません。
例えばマイスター制度があるドイツなどではもしかしたらあるかもしれません。