これはバーリーハウスに展示されている一対のオーク(樫)と大理石のテーブルです。
おそらく1780年にFell & Newtonによってバーリーハウスのために作られたものと言われています。
(テーブルサイドの彫刻の装飾の中央にあるコーンの束を支える1対のライオンはバーリーハウスの紋章)
18世紀に作られてから200年以上、修復されることなくずっと使われてきたため、この写真のようにサイドの彫刻が取れてしまっています。
2011年冬、この彫刻の修復を私が担当することになりました。
通常、家具の修復をする際は、その家具を工房に運び入れて作業をするのですが、この家具は大変大きく重かったため、テーブルを動かすことは難しく、テーブル本体はハウスの部屋に置いたまま修復作業をしなければなりませんでした。
まず、この彫刻をすべてテーブルから取り外し、欠けている部分を新しく作ります。
イギリスの修復は出来るだけオリジナルのものを残すことを大切にしています。
そのため、可能な限り残っている部分をそのまま使うので、欠けている断面がボロボロになっている場合、そのボロボロになっている部分を切り取ったり削ったりしなければならないのですが、それは最小限に抑えなければなりません。
そして、新たに作ったものとの継ぎ目がわからなくなるように接着する必要があります。
接着には昔ながらのにかわ(膠)を使います。これもオリジナルの作り方に合わせているのです。
接着後は新しく作った部分の色を元の色に合わせます。
それを最後にテーブル本体に取り付けます。
私自身は彫刻の修復が好きですが、このテーブルの装飾はかなり多くの部分がなくなってしまっていたため、修復には1か月ほどかかりました。
このテーブルは現在もバーリーハウスで展示されています。