少し前にバーリーハウスのオーナーから修復の依頼をされたテーブルがありました。1720年頃に作られたこのオーク材のゲートレグ・テーブル(Gateleg table)です。よく目にする脚の先のデザインは丸ですが、これはあまり目にすることがない珍しいデザインです。

Braganza Feet5  Braganza Feet6
テーブルのサイズ(閉じているとき:約100cmx42cm、開くと90cm)

イギリスではブラガンザ・フィート(Braganza Feet)と呼ばれるデザインで、名前の由来はイングランド王チャールズ2世の王妃キャサリン・オブ・ブラガンザが出身地であるポルトガルから持ってきた家具にこのデザインがあったからと言われています。実際にイギリスでこのデザインの家具が作られるようになったのは1700年以降です。ブラガンザ・フィートの他にスパニッシュ・フィートと呼ばれることもあるので、ポルトガル、スペインのゴシック洋式のデザインの影響を受けているデザインということなんだと思います。

オーナーのテーブルを修復し終え、数ヶ月経った頃に偶然私もブラガンザ・フィートの小さなテーブルを手に入れました。通常のゲートレグ・テーブルのサイズよりも小さく、片方しかテーブルの板がありません。そしてマホガニー材で作られています。かなり変わった家具でマリッジ家具かと一瞬思いましたが、細部までよく見ると作られた構造や色合いなどからマリッジ家具ではありませんでした。リサーチの結果1725年頃にイギリスで作られた珍しい家具であることがわかりました。マホガニー材がイギリスに輸入され家具が作られ始めたのが1720年以降なので、このテーブルはイギリスにマホガニー材が流通し始めた頃に作られたテーブルということになります。当時はマホガニー材が輸入された量も少なくかなり高価なものだったと思います。

Braganza Feet1 Braganza Feet2

Braganza Feet3 Braganza Feet4
テーブルのサイズ(閉じているとき:76cmx32cm、開くと60cm)

歴史的な価値もあるこのテーブル、修復する箇所がいくつかあるのですが、今は仕事が忙しいのでしばらくこのままで保管し時間に余裕ができた時に修復し大切に使いたいと思います。