最近、以前私が修復したイスが再度修復のために戻ってきて、懐かしくなったのでそのイスについて今日は書きたいと思います。
今回の修復箇所は以前私が修復した部分とは異なりイスの皮の縫い目がほどけた為に工房に運ばれてきました。

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アンティークの家具は時代の流行と共に使われなくなったり、破損によって使えなくなりことがあります。
イギリスではこのような使われなくなった家具を捨てる人は少なく、他の人の手に渡ったり保管する場所があれば保管されることが多いです。これはイギリスの伝統だと思います。

ここバーリーハウスのような大きな屋敷は部屋や倉庫も多いので、そのような家具は捨てられることなく保管されています。
以前このイスを修復したのは2017年のことなので、少し前の話ですが、同じイスがバーリーハウスから修復工房に来ました。背もたれの中心の装飾が欠損しています。そして背もたれの一部も割れています。このような理由で屋根裏部屋に長い間保管されていました。このイスはハウス内のプライベートエリアのライブラリーで使われているセットのイスで10脚以上が今も現役で使われています。19世紀初頭にオーク材でバーリーハウスのために作られた質の良いセットです。

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ハウスに残っている現役のオリジナルのイスのデザインを元に彫っていきます。最初にオーク材を切り出し王冠とシールド(紋章)の背景を彫ります。

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そしてシールドの中の小さな詳細を彫り背景のシールドをカットし膠で接着します。

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その後は色を全体に合わせて完成です。

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長年同じ場所で修復をしていると、以前に自分が修復した家具に再会することもあり、そのときの修復のことを思い出し懐かしく感じることがよくあります。