最近、仕事で日本の古い屏風を修復しました。外の黒いフレームと布が貼られている内側の木のフレームの修復担当が私で、刺繍の施された布はバーリーハウスのテキスタイル修復工房で修復されました。

folding screen1

表面に刺繍が施された布の内側のフレームは障子のように格子状のフレームになっており表面には紙が貼られています。以前に何度か同じタイプの日本から来た屏風を修復したことがありますが、明治時代の新聞が使われていることが多いのですが、今回は茶色の厚めの紙が使われているだけでした。格子状のフレームは接合部に緩みや割れがあり全て緩みのある部分は膠で接着しました。

私の担当した修復箇所は、上記の内側の格子状のフレーム、外の黒いフレームの四隅の接合部の緩み、表面の塗装の剥離、紐のヒンジ(修復前は靴紐が使われており、オリジナルとは異なる結び方で修理されていました)の4カ所です。この修復プロジェクトで最も難しく時間がかかったのは意外にも穴に紐を通してヒンジを編む作業でした。小さな穴に太い紐を通す作業です。

folding screen2

この紐のヒンジは紐蝶番といわれるもので、これのすごいところはどちら側にも折りたたむことができるところです。また、紐に厚みがあるため隣のフレームとの間に隙間が生まれ塗装が擦れて表面にダメージを与えることのない構造になっており、よく考えられた日本伝統のヒンジだと感心しました。見ているだけだと、その構造やデザインの美しさに気がつかないことが多いですが、実際に修復してこのような細かい点に気がつくことがよくあります。