以前にも「家具の表面についた水のマーク」で水によるダメージの修復に触れましたが、先日、水害で完全に水に濡れた家具が運ばれてきました。

よくある水によるダメージは家具の表面の色が変わることです。たとえば、家具の上に水が入った花瓶を置き、底が濡れているのを知らずに長時間放置したことによるマークが比較的多い気がします。

イギリスは古い家に住んでいる人が多く、屋根が雨漏りしたり、古いパイプが壊れたり、お湯を循環させるラジエター(セントラルヒーティング)の水が漏れたり、水周りのトラブルが多いため家具や室内が水浸しになることがあります。

水害による家具のダメージ1

今回運ばれてきたこの家具(19世紀フランス)も上の階から水が漏れ、しばらくの間水で濡れていたために、このような状態になってしまいました。この家具は表面に象眼細工の化粧材が貼られており、表面の塗装だけではなく化粧材が剥離し始め表面が平らな状態ではなくなっていました。

水害による家具のダメージ2 水害による家具のダメージ3

浮いてしまった化粧材を伝統的な接着剤である膠で接着し直し、表面を平らにした後、表面の塗装をアルコールで剥がしていきます。白い化粧材は黒っぽく変色してしまっており、薬品で変色を取り除き昔使われていた塗装と同じ素材の塗装を塗り重ね磨くとこのように綺麗に蘇ります。

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