家のドアや、家具のドアや引き出しには施錠できるようにロック(Lock 錠)が古くから付いていることが多く、開ける時には鍵が使われてきました。そのときに鍵穴のまわりに飾りのようなものがついているのをよく目にします。これはEscutcheon(フランス語)とイギリスで呼ばれるものです。発音はエスカッション(エスカッチョン、エスカッシャン)で、盾を意味し、語源はラテン語のScutum(=英語Shield)から派生した言葉です。

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盾という言葉の意味からも推測できると思いますが、これは鍵穴の周りを守る役割を持っています。実際に古い家具や古いドアでこのエスカッションが無くなっている状態のまま長く使われたものをよく目にし、修復してきました。その多くは鉄でできた鍵によって鍵穴の周りはダメージを受け鍵穴が大きくなったり、鍵穴がいびつな形状になっていたりします。

家具では中世の時代にはシンプルなデザインの鉄のエスカッションが使われはじめ、17世紀に入ると真鍮で作られた装飾が凝ったものが普及し始めました。鉄や真鍮の他には象牙、黒檀、シルバーなどの素材も使われました。

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時代と国によって様々なデザイン、素材のエスカッションが作られました。これらの写真はほんの一部ですが、日本ではあまり見られない様々なデザインがあったことがわかります。