焼きたてのトーストを直接お皿の上に置いておくとお皿とトーストの間に熱と蒸気がこもりしっとりとしてしまいます。両面をパリッとした状態に保つために発明されたのがトーストラックです。主にシルバー、シルバープレート、陶器でできており、トーストは縦置きになるように作られ、4枚から6枚のトーストを立てることができます。真ん中の上部には輪状のハンドルが付いていることが多いです。これは食卓でトーストラックを移動させるためです。

トーストはローマ時代から食べられていたようですが、トーストラックが発明されたのは意外にも遅く18世紀でした。1770年頃に現れ、1780年頃には上流中流階級の間に広がりましたが、初期のトーストラックはシルバーのワイヤーを使って溶接する新しい技術が使われたこともあってかなり高価だったそうです。

現在よく目にするトーストラックと形状が異なる初期のトーストラック(Victoria & Albert Museum所蔵)

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19世紀になってより一般的になり19世紀、20世紀に様々な形状のトーストラックが作られました。そして現在でもトーストラックはイギリスの朝食のテーブルに欠かせないアイテムとして使われ続けています。

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テーブルにパン屑が落ちないようにトレーがついているもの

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トーストラックにエッグカップが付いたもの

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イギリスでは昔からトーストは薄切りでサクサク感を楽しむ傾向が強いと思います。イギリスの薄いトーストに合わせて作られたトーストラックは、パンを立てかける幅が狭いものが多く、日本で一般に販売されているトーストは入りません。トーストラックを使うときは、イギリスで一般的に食べられているような薄いサクサクのトーストを楽しんだり、トーストの代わりに紙ナプキンを立てたり、デスクに置いてレターラックや名刺たてとして使うのも良いと思います。