イギリスのシルバー(純銀)は、銀の純度が92.5パーセント以上です。それを専門に検査する機関をアッセイオフィスといい、銀工房もしくは銀職人はアッセイオフィスに銀製品を送り、ホールマークを刻印してもらいます。これは13世紀から現代に続くとても統制されたシステムで、この刻印から作られた年代、検査を受けたアッセイオフィスの場所、メーカーなど様々なことがわかります。

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シルバープレートは、銀ではない金属(銅、真鍮など)にシルバーのコーティングを施したもの、つまり銀メッキで、これにもホールマークに似た刻印があります。ホールマークという言葉は純銀の刻印だけに使われる言葉ですので、シルバープレートの刻印のことはホールマークとは呼びません。

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(シルバープレート (商品コード) SPL014 (商品名) ティースプーン12本&シュガースプーン 箱入り(イギリス 19世紀)の刻印)

シルバーのホールマークもシルバープレートのマークも小さいので、一見どちらなのかわかりづらいことがあります。以前知り合いのアンティークディーラーが「シルバープレートのマークはホールマークを模している。メッキが剥がれていなければ、パッと見はホールマークに見えて、純銀だと思うからね」と言っていました。

実際にシルバープレートのマークはホールマークにわざと似せて作られているケースがあります。銀器メーカーで有名なエルキントン社は、自社のマークに、王冠(シェフィールドのアッセイオフィスのマーク)にあえて酷似したロゴを使用したことがあり、混同することがあるということで1898年に王冠を外さなければならなくなったこともありました。

基本はEP(Electoro Platedの略)の刻印があればシルバープレートのマークになりますが、例外も多いです。

イギリスの銀製品はホールマークを見慣れていればシルバープレートのマークとの違いはわかり易いですが、世界には数多くの見慣れないホールマークがあり、それぞれの国や地域で様々なマークが使用されています。銀製品の刻印がイギリスのホールマークではないからといって、必ずしもシルバープレートであるわけではなく、他国のホールマークの可能性もあるので判断が難しい場合があります。

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基本的に「シルバー」というときはスターリングシルバー(純銀)のことを指します。ですが、日本のディーラーやショップによっては意図的なのかどうかわかりませんが、シルバープレート(銀メッキ)のことも「シルバー」と表現したりする人もいます(※)。銀製品を購入される際には、ディーラーやショップの説明だけをうのみにするのではなく、必ずホールマークがあるかどうかを確認することをお勧めします。当サイトでは各商品のホールマークを個別に説明してありますので、ぜひご覧ください。イギリスのホールマークを見分けられるようになると、安心して購入できるようにもなりますし、また一層シルバーを楽しむことができるようになると思います。

※イギリスでは純度92.5%以上のシルバーしか「シルバー」とは呼びません。たとえば、ヨーロッパ大陸のシルバー(純銀)で純度80%のシルバーはヨーロッパ大陸では「シルバー」と呼びますが、イギリスでは「ホワイトメタル」と呼びます。