古くから使われている素材で真っ黒な木を、時々アンティークで目にします。アンティークの家具、楽器のパーツ、チェスの駒、ポットのハンドルなどです。これはエボニー(ebony)と呼ばれ、日本では黒檀と呼ばれています。日本では、似た木で黒柿があり、黒柿も黒檀と同じ種類の木で黒檀の木にも柿のような実がなるそうです。

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エボニーは主にインド、スリランカ、アフリカの熱帯地域で見られ、大木にはなりますが生育がとても遅く非常に固い木で、水につけると沈みます。

この木が使われ始めたのは、紀元前3000年頃まで遡ります。古代エジプト人が使用していました。ヨーロッパで使われ始めたのは16世紀のオランダで、アントワープの家具工房で高価な家具(主に小さな引き出しが沢山付いているキャビネット)に使用されて欧州に広く知られることになりました。

上記で言及したように黒檀は生育が遅く、わざわざ遠く熱帯の国から輸送しなくてはならなかったこともあり高価でした。そのため高級なものに使われました。高価な家具に好まれて使われた理由は、他の家具とは違い真っ黒で目を引いたこと、固いため細かな装飾や彫刻が施すことができたこと、高価であった象牙や真鍮などの金属や他の木材とのコントラストが美しく多用されたこと、固いため塗装をあまり塗らなくても磨くと美しいツヤが出ることなどが考えられます。

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エボニーがある程度普及してからは、高級感を出したいものにエボニーが使われるようにもなります。

ポットのハンドルなどでよく使われた理由は、固く丈夫であったこと、耐水性に優れていたこと、ポット本体の熱が手に伝わらないようにするため、またシルバーの輝きと黒いハンドルの相性が良く美しかったことなどが考えられます。

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「アンティークやビンテージのものにある黒=全てエボニー」ではありません。エボナイト(ベイクライト:耐熱性の高い初期のプラスチック)、プラスチック、黒く塗られた木、などもあります。