アンティーク好きなら一度は見たことがあり馴染みのある、この厚みのあるVirol(ヴァイロール)のポット。キッチンもののアンティークを扱う店などではよく見かけるアイテムです。

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牛の骨髄液が入っていて子供や病人などの栄養補給のために食べられていたものというのは知っていましたが、それ以上はあまり詳しく知らなかったので調べてみました。

1860年頃から販売されていたというのを耳にしたことがあり、すっかりそれが正しい思っていましたが、それは間違いで1899年にBovril社で開発され、1900年1月20日にVirolの名が登録され発売された商品でした。同年に需要が急速に拡大していることを受けてBovril社は独立したVirolを別の会社として設立したそうです。

最初に販売されていた主な場所は薬局で、見た目は糖蜜のように黒くドロドロとしておりスプーンで容器から取りそのまま口に入れて服用していました。主成分は牛や子牛の骨髄液、玉子(殻も含む)、砂糖、麦芽エキス、レモンシロップです。これを摂取する目的は子供の体(主に骨)を強くしたり、病院や診療所では妊婦や授乳中の母親、そして乳幼児にまで与えていました。

1940年代Virolを売る女性が小学校に来て1ペニーで1匙もらえました。その時に使われていたVirolの瓶は巨大なもので(高さ23センチ)、これは残っている数が少ないため珍しいです。

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第一次世界大戦後には成長期の子供に、寒い冬に備えるために毎日スプーン1杯が推奨されいたそうです。ケンブリッジ大学の研究によると多くのビタミン、脂肪分、プロテインが含まれていることのことです。

1950年、60年代までは頻繁に摂取されていたようで、イギリス人によっては美味しいと言う人、マズくて食べられなかったと言う人もいます。70年代には姿を消したようです。一体、どのような味だったのでしょう。