アンティークの修復作業をする場合、修復工房での作業と現場での作業の2種類があります。最も多く作業がしやすいのは修復工房に運び込み修復する方法です。それは沢山の道具、材料、機械など設備が整っていること、自分のペースで作業ができ時間を有効に使えるという利点があります。しかし、モノが大きく運ぶのが難しかったりする場合は現場で作業することがあります。それでも修復の内容によって現場での作業ができるか、できないか判断します。

引越し業者が傷をつけたという18世紀にウォールナット材で作られたスペインのテーブルです。これは磨き直しと色合わせで現地での仕事に適していたので受けました。新しい傷を古傷に見せ、全体が色褪せているので暖かい色合いにしました。

(修復前)
table1 table2

(修復後)
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これは少し前に修復した18世紀にマホガニー材で作られた壺です。非常に大きく重く運びにくいものです。この彫刻が一部紛失していました。このような彫刻が多く施された家具は彫刻は膠で接着されているため、隣の同じ装飾を剥がし、サンプルとして工房に持ち帰りました。同じように彫り、色を合わせ、塗装して完成です。

(修復前と途中)
マホガニー壺1 マホガニー壺2

マホガニー壺3 マホガニー壺4

サンプルとして剥がした装飾と作った装飾を膠で貼りつけ修復終了です。彫刻は時間がかかり時間に制限のある現場では不向きな作業です。古いものの構造を知っているとこの様に修復作業をすることができます。

(修復後)
マホガニー壺5 マホガニー壺6