様々なデザインがある小さなアンティークはコレクションとして集める人が多く、イギリスでは写真のような小箱を収集する人を見かけます。これはヴェスタケース(Vesta Case)と呼ばれるもので、マッチ入れです。19世紀後期から20世紀初期頃、タバコを吸う習慣が一般に普及し多くの人が日常的にタバコを吸うようになりました。

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ヴェスタの名前の由来は古代ローマで信仰された火床をつかさどる女神ヴェスタからとられました。

19世紀初頭に摩擦によって発火するマッチが作られ、それがどこで擦っても発火するマッチであったため、ポケットに直接入れておくとマッチどうしが擦れただけで火が付くことがあったため危険でした。そのためマッチを持ち運ぶために必要になって生まれたのがこのヴェスタケースです。湿気からマッチを守る役割もあり、発火を防ぐために密閉できる蓋のついた構造になっています。木製、ベイクライト(初期のプラスティック)、象牙などの素材で作られたものもありますが、実用的なヴェスタケースは主にゴールド、シルバー、シルバープレート、真鍮などの金属で作られました。

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どのアンティークについても共通していることですが、珍しいデザインには素材の価値以上に高価な値段で取引されます。

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