一つの国に長く住んで生活していると、そこで生活している人が何に興味を持っているのか見えてきます。
私はイギリスに住んで今年で17年になります。ここでイギリス人に囲まれ仕事や日々の生活を送る中で多くのイギリス人がどんなものに興味を持ち価値を見出しているのかかなり見えてきました。

 

「古いもの(歴史)」
古いものを捨てずに取っておく人が非常に多く、アンティーク(100年以上前に作られたもの)が普通の家にあり日常的に使われていたり保管されていたりします。興味があり好きなので大事に取っておく人が多いのだと思います。壊れると修復して長く使う人が多いため、私の本職のようなアンティーク家具修復士などの職が存在します。100年経っていないようなものでも捨てずに保管している人が多く、このような習慣があるため古いものがたくさん残っているのだと思います。

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「家」
イギリス人は家好きが多いように感じます。冬は暗く寒く天候が良くない日が多いので、室内で過ごす時間が長いイギリス人にとって重要な場所であるように感じます。外食するよりお客を家に招いて食事をしながら楽しいひと時を過ごす人が、日本よりもずっと多い印象です。他のヨーロッパの国々と比較しても家の価格は高く、近年では家の需要と供給がアンバランスであることもあり家の値段が高騰し若い世代は家を買えない時代になってしまっています。家もアンティーク同様、古い家はメンテナンス費用が高くなるにも関わらず、高額になります。

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「庭」
イングリッシュガーデンという言葉が世界中で知られていることからもイギリス人が大変興味を持っているものの一つだということがわかります。イギリスの歴史を見ても、昔から世界中の植物を持ち帰ってきています。庭師の仕事は多く需要がある職業ですが、決してラクな仕事ではありません。ですが、働いているのはほとんどイギリス人です。夏は直射日光を一日中浴びながらの重労働で、冬は寒く天候が悪くてもしなければならない過酷な仕事です。イギリスでは過酷な仕事は外国人労働者(特に東欧出身者)が多い傾向がありますが、イギリス人は庭に興味があるため、庭師の仕事を過酷と感じないのかもしれません。

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