少し前に偶然手に入れたこのブローチ、表から見るとマーカサイト(マルカジット)が散りばめられた横に少し長いシルバーのブローチですが、裏を見ると普通のブローチではないことがわかります。内側のクリップ状の金具を持ち上げると表のマーカサイトが二つに分かれ、ブローチのピンがついた金具の部分と計3つのパーツに分かれます。

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以前にも見たことがあったこのタイプのブローチ、どのように使用するのか調べたことがなかったのでリサーチしてみました。

ここバーリーハウスで働く数人の人に聞いてみました。イヤリングとして使うのではという意見が多く、クリップを実際に耳に挟むことはできます。しかし、ちょっと痛い。クリップの先に少し尖った部分が1箇所あるので、構造的にイヤリングでは納得がいきませんでした。

リサーチを進めるうちに、クリップの部分を洋服に挟んで使うクリップブローチと呼ばれるジュエリーであることがわかりました。1920年代後半に有名なジュエリーデザイナーであるルイス・カルティエが考案したデザインで1927年に特許を取得し、1930年代、1940年代に人気が出ました。

昔のファッション雑誌に掲載されていた写真や絵です。

Clip Brooch1 Clip Brooch2 Clip Brooch3

Clip Brooch4 Clip Brooch5

アンティークの世界は広く、以前に見たことがあっても用途や歴史を知らないことが沢山あります。でも手に入れると興味が増して調べ、その物の構造や質や特徴などを知ることができ、そして知識が増えるきっかけになります。