Chest of drawersと呼ばれる箪笥の表面の化粧材の剥がれなどの修復の依頼がありました。2対セットの18世紀に作られた家具で大きな屋敷のために作られたかなり質の良い家具です。

Chest of drawers1 Chest of drawers2

実際に目にして、何か違和感を感じました。古い家具にはデザインのルールがあり、毎日多くの古い家具を目にしているとそのデザインのルールに当てはまらない家具を見ると自然に違和感を感じるようになります。ほとんどのChest of drawersは4つ脚の家具ですが、この家具は真ん中にもう1つ脚があります。このような5つの脚の家具も存在しないわけではないのですが珍しく、たいていは大きな屋敷のために作られたかなり質の良い家具であることが多いです。脚が5つあることだけでなく、この家具の4つの脚の部分に特に違和感を感じました。正面から見たときに両脚が短く感じ、実際、通常のChest of drawersよりも高さが低かったのです。全体のデザインも、ちょっと短足に見えエレガントさが無いのです。

家具をひっくり返して見ると、両方の家具の脚に切られた跡がありました。

持ち主にそのことを伝えると作られた時のデザインに戻して欲しいと言われ、脚を元に戻す修復をすることになりました。同じ種類の木材で切られた部分を作り接着、補強を施し、表面の化粧材を貼り色合わせをし装飾の金具を戻す作業です。

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脚をオリジナルのデザインに戻すと全体のプロポーションが良くなりエレガントさが生まれ、より美しい家具になりました。

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